9年間の裏側/デルミリオーレCLOUD高崎
初めての参入戦から9年。やっと掴んだ関東リーグへの切符。
群馬県リーグでは絶対王者。関東リーグ参入戦ではスター揃いの大本命。CLOUDはそう呼ばれ続けながら関東リーグ参入戦で敗退を続けた。繰り返される大型補強。それでも掴めない関東リーグへの切符。焦りは苛立ちへ変わり、苛立ちは不安に変わった。繰り返される痛烈な試練に何度も涙を飲んだ。
Fリーグ経験者が数多く在籍し外国籍選手枠にも空きは無い。フットサルでは知られていなくてもサッカーで華々しい経歴を持つ選手ばかり。そんな構成のチームは国内にもそう多くは無いだろう。これでだめだったら諦める。その言葉に納得してしまうほどのチームとなった。そして迎えた関東リーグ参入戦。参入戦には独特な雰囲気がありリーグとは違う難しさがある。1日に数試合をこなす厳しい日程に加え一発勝負のプレッシャー。ロンドリーナとの参入戦に惜しくも敗退したCLOUDだったが、入替戦ではリベルダージ千葉を圧倒。6度目の挑戦で長きに渡る悲願を成し遂げた。
CLOUD 小林代表インタビュー
Q.活動を始めて9年。CLOUDのスタートはどんな形だったのでしょうか?
CLOUDはサッカー仲間たちとのチームです。他の社会人チームと同じ良くある形のスタートですね。 ただ、当時のメンバーで残っているのはもう僕と関口(#12)くらいになりました。 チームは2部からスタートして県1部に昇格してすぐにリーグ優勝出来ました。 良いメンバーが揃っていたのもあって、「なんだ、これ結構簡単じゃん。」って思ったのを覚えています。 そうしたら入替戦へ行った時にインペリオと当たったんですよね。本当にボコボコにされました。 今、思えばそこからフットサルってスポーツにのめり込んでいった気がしますね。
Q.どんな形でフットサルを学んでいったのでしょうか?
最初の頃は解らないなりに自分達で勉強していました。フットサルのビデオを見て真似してみたり。 監督らしい人間がいない時は僕が監督をしていましが、少しでもフットサルキャリアの長い人間がいたら監督をお願いしました。 自分も今でこそ色んな人から学んだから、現在がある訳ですが当時は知らない事だらけでしたので、自分がやるより任せた方が良いなって思ってました。 そんな中でかつて在籍した現在BFCの監督である高島や須崎(#18)等が監督をしてくれました。 今はジオゴが監督を務めていますが、プロ経験のあるフットサル選手やFリーガーと監督面でも恵まれていたなと思っています。
Q.毎年行われた豪華な選手補強について
自分でも凄く豪華なチームだなって思っています。 過去にはベッチーニョなんかもいたりしましたしね。 ただ、僕達がどれだけ勝ちたかったのか。 それが全てだと思っています。 チアゴ、チーニョ、ジオゴ、キヨシ。外国籍選手枠を埋められるチームも多くはないですよね。 Fリーグ経験のある日本人選手もいてメンバーの個々の力なら関東でも屈指だと思います。 たくさんの素晴らしい仲間がCLOUDというチームで関東を目指して戦うという目的に賛同してくれたって事だと思っています。
Q.6度目の挑戦で関東リーグ参入を決める事が出来ました。率直な気持ちを教えてください。
やっぱり安心したというのが本音です。僕達は9年間の活動の中で6度の参入戦を経験しました。 参入戦の試合中にリードされると思ってしまうんです。「ああ、今年もダメかぁ」って。 毎年、毎年辛い想いをして、そしてまた群馬リーグを1年戦う。そういうサイクルに疲れていた部分もありました。 本命に推され、自分達も今年こそはって思いながらも負けてしまう。 そんなプレッシャーからやっと解放されたんだなって気がします。 だけどCLOUDはここが終わりではです。メンバーは新たな挑戦へ向かって準備しています。
Q.参入戦について教えてください。参入戦の難しさはどんなところでしょうか?
参入戦は各県のリーグを優勝してきた1年間勝ち続けたチームが集まる場所です。 モチベーションもコンディションもしっかりと合わせてきます。 結果が来年度の居場所を左右するので全ての選手が高い集中力でプレイします。 もちろんリスクの排除の為に徹底的に引いて守るチームもあります。 簡単な試合は一つもありませんでした。 加えて毎年、下馬評で有利と謳われ本命に推されていたCLOUDが受けるプレッシャーは半端ではありませんでした。
Q.そんな中で昇格を決めた先日の参入戦。何が選手達を後押ししたのでしょうか?
以前のCLOUDって地域に愛されていなかったと思うんです。 ただ強い、群馬で勝ってるだけのチーム。そんなチームだからいつも勝ちきれなかった。 今回、自分たちを支えてくれたのはCLOUDファミリーが結成してくれた応援団です。 いつも大きな声でコートに届く声援に心打たれました。。 セグンド、ホーダミーゴを初め関係者の方々の声援によって普段以上の力を出す事が出来ました。 ジオゴも参入戦を振り返って同じ様な事を言っていました。 今シーズン、ゴールを決めた後に応援団の方へ向かう選手が多かったのが感謝の表れでしょうね。
Q.初めての昇格の裏にある6度の参入失敗。9年間で辛かった思い出は?
本音を言うと最後の2年間は諦めかけていました。これでダメだったら諦めよう。って何度も考えていました。 特に今年はチーニョ、ジオゴと大きな補強もしたのでダメなら終わりにするつもりでした。 ただジオゴに続ける事の大切さを説かれました。 加えて僕達が蓋をしてしまって下位のチームがモチベーションを作れない事も。 CLOUDは群馬リーグの競技レベルを向上させる妨げになっているからこそ早く関東リーグへ上がらなければならない。 でも上がれない。 群馬の為にCLOUDを終わりにしようと、本当にそう思っていました。 自分達が邪魔者になっている、そういう感覚も辛かったですね。 ただ、何よりも参入戦で負けた翌日が辛いです。あれは本当に辛いですね。 1年間という時間をかけた目標を失ってしまった苦しみと年を重ねる毎に大きくなるプレッシャー。 今年こそ、今年こそって思う程、負けた時の苦しみは大きくなっていきました。 上がれなかったのだから去年以上にやらなくてはいけない。 下まで落ちた気持ちをまた上に向ける難しさ。 辞めようとするチームメイトの引き止め。 スポンサーへの申し訳無さ。 毎年、そういった虚しさや辛さが動き出しを遅くしてしまうんです。 ご存知の様にリーグ開幕戦は毎年、苦しかったです。 新しい1年へのリスタートがしっかり切れていないように思うかもしれませんが、毎年の入替戦の反動が出てしまっていた訳です。
Q.2014シーズンは参入戦を意識して県リーグでもテストを行っている様に見えました。どんな狙いがあったのでしょうか?
参入戦を視野に入れてPP(パワープレー)を試合でテストする事が多かったですね。 様々な相手に対してPPを行うことで戦術の熟成を狙っていました。 もちろん参入戦の為でもありますがCLOUDはチアゴ、チーニョ、須崎、ジオゴ・・・ ミドルシュートで得点を狙える選手が数多くいます。 だからこそ自分達のストロングポイントを生かせるパワープレーは大きな武器になると信じています。 ジオゴはとても細かい監督なのでOFだけで無くDFの対策もきっちりと行いました。 やはり参入戦はしっかりとした準備をしたチームが勝ち上がれるものだとジオゴも言っていました。 それを信じてチームは最終節までしっかりとした準備を行いました。 それが良い結果に繋がりましたね。
Q.CLOUDの現在について教えてください。ジオゴ監督はどんな監督なのですか?
とにかく細かくてうるさいです(笑) 戦術的な事に拘りが強くちょっとした事で結構怒られますね、ミスにうるさい訳では無いんですけど。 ちょっとした所で前を向かなかったりボールの回し方だったりとかそういう部分で怒られるとしつこく言われます(笑) 練習後のミーティングも凄く長いです。長い時は4時間とか。 スカウティングとかも緻密ですね。 試合前には相手の情報をまとめたビデオをずっと見せられたりとか。 でも全てが勝つ為に行われてますね。やはりプロフェッショナルだなって感じます。
Q.CLOUDの今後はどうなっていくのでしょうか?
今年の目標は新たなるステージである関東リーグで優勝をして関東1部へ昇格する事です。 昇格が目標ですが入替戦に関しては、もうやりたくないのが本音なので出来るだけ優勝して昇格を決めたいです。 2014-2015シーズンから女子チームも始動します。クラブとしてより大きく活動していく事になると思います。 もちろん関東1部が最終目的ではありません。もっともっと上を目指してやっていきたいとも考えています。 ただ、その為にはスポンサーや体育館等クリアしなければいけない問題も多くあります。 幸いスポンサーのご支援もご理解も頂けている状況なので前だけを見て進んでいけたらと思っています。
CLOUD選手紹介
#1 江口健(Fリーグ ステラミーゴ花巻にも在籍していたゴレイロ。安定感のある守備でチームを後方から支える。大崩れすること無くシーズンを通してゴールを守った。)
#3 岡田サントスジオゴ(選手として監督としてFリーグを渡り歩いた経験を活かし就任1年でチームを関東リーグへ昇格させた。CLOUDでは決定的なパスで数多くのチャンスを演出した。)
#4 小林和浩(写真左)(精力的なフリーランと献身的なディフェンスでチームに貢献した。)
#5 チアゴ山崎(FIRE FOX、カスカヴェウ、大洋薬品/BANFFと黎明期から日本のフットサルを盛り上げた選手。BFC-KOWAを経てCLOUDへ。強烈な左右のシュートでチームを引っ張った。)
#7 志村直明(関東1部ブラックショーツから加入。ドリブルが魅力。勝負の決まるPKをきっちり沈めたのが印象的。)
#9 小林洋介(過去に海外でのプロサッカー経験を持つチームの中心。抜群の決定力で群馬県フットサルリーグ得点王。CLOUD代表としてチームを牽引。)
#10 舩山翼(町田ゼルビアからDIVERTIDO八王子を経てCLOUDへ移籍。恵まれた体格を活かした強靭なフィジカルが武器。)
#12 関口勝久(俊敏性と高い技術でチャンスを生み出すレフティー。)
#13 チーニョ(Fリーグ バサジィ大分から加入。高い身体能力とアグレッシブなDFでコートに君臨。強烈なシュートで得点を重ねた。)
#18 須崎充樹(Fリーグ ステラミーゴ花巻から移籍。経験豊富なベテランは昨年度は監督として今シーズンは選手としてチームを支えた。相手の逆を取る揺さぶりと左右からの強力なシュートで得点を量産。)
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